
出生前診断・超音波検査について
出生前診断をお考えの皆さまに知っていただきたいこと
出生前診断は広い意味では、妊娠中に行われる胎児の発育や異常の有無などを調べるすべての検査を意味します。通常の妊婦健診で実施される超音波検査や胎児心拍数モニタリング(NST)なども出生前診断に含まれます。
近年、染色体異常を調べる検査技術も進歩しており、当院では様々な出生前診断・検査方法をご提供しています。その一環として、日本医学会認証の無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)も実施しています。
認証医療機関について
「日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会」は、出生前検査を受ける妊婦さんとパートナーへのサポート体制、遺伝カウンセリングや検査の質の向上を目的として、2021年に国の専門委員会「NIPT等の出生前検査に関する専門委員会」の報告書に基づき設立されました。この委員会はこども家庭庁と連携して活動しています。
当院は、上記運営委員会により無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)を実施する医療機関として正式に認証を受けています。認証医療機関の一覧はこちらでご確認いただけます。
当院のNIPT認証について
この認証制度は、検査の質と妊婦さんへの適切な遺伝カウンセリングの提供を目指すものです。認証施設では、検査前後の適切な遺伝カウンセリングの実施、正確な情報提供、専門的な知識を持つ医療者による対応など、妊婦さんとそのご家族に安心して検査を受けていただくための体制が整えられています。
運営委員会が策定した「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設認証の指針」の基準を満たす医療機関として、当院は正式に承認されています。院内でNIPT検査を実施し、検査結果によってさらに遺伝カウンセリングが必要になる場合は、基幹施設である横浜市立大学附属市民総合医療センターをご紹介します。認証施設の詳細についてはこちらをご覧ください。
当院の出生前診断について
当院では、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)の他にも、以下のような出生前診断を提供しています。
(広義の)出生前診断
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超音波スクリーニング検査
当院では妊娠中期に、胎児と付属物(胎盤・臍帯・羊水)を詳しく観察し、チェックリストを用いて検査します。専門的な訓練を受けた臨床検査技師が担当し、医師がご説明します。異常所見がある場合には再検査を行い、必要に応じて高次医療機関をご紹介させていただくこともあります。
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胎児エコー外来(胎児超音波精密検査)
当院では胎児診断認証医による胎児エコー外来を実施しています。出生前に異常を発見された場合、赤ちゃんにとって最適な分娩施設を選ぶことができ、適切な分娩時期や方法を決定することが可能になります。

担当医:岡田 悠暉
- 日本産科婦人科学会専門医
- 日本胎児心臓病学会 胎児心エコー認証医
受診について
分娩予定日決定後から分娩直前までのすべての妊婦さんが受診できます。また他施設で分娩予定の妊婦さんも受けつけが可能です。1人平均30分行います。
胎児エコー外来診察日
毎月1~2回土曜日に開催 ※詳細日時はお知らせをご確認ください。
予約方法
・愛育病院に通院中の妊婦さん
下記より予約が可能です。
ご予約はこちら・他医療機関に通院中の妊婦さん
お電話にてご予約をお願いします。
妊娠初期~中期に行われる出生前診断
おもに妊娠10~18週で胎児がどのような異常を持っているかを調べる検査(出生前検査)に基づく診断です。以下の検査が含まれます。
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母体血清マーカー検査(クアトロテスト)
母体から採血した血液を検査し、胎児の染色体異常や二分脊椎などの確率を算出するため検査です。
対象疾患:ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形
検査時期:妊娠15週から18週頃まで
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羊水検査
羊水を採取し検査することで、染色体異常があるかどうかを調べます。なお、本検査はリスクを伴うため、実施前に十分なインフォームドコンセントを行った上で実施します。
対象疾患:染色体異常全般
検査時期:原則として妊娠16週以降
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胎児超音波検査(11~13週)
この時期の胎児の後頸部浮腫(首の後ろのむくみ)はNT(nuchal translucency)と呼ばれ、染色体異常に関連する所見です。NT以外にも、鼻骨の有無などのソフトマーカーが知られています。診断をご希望の方は、胎児エコー外来を受診してご相談ください。
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NIPT
妊娠10週から可能で、対象疾患は代表的な染色体の数的異常(21トリソミー=ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー)です。これは妊婦さんの血液を調べるだけで、胎児に対するリスクはまったくありません。
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検査のメリットとデメリット
メリット
- 安全性が高い - 通常の採血だけで行うため、胎児や母体への負担やリスクがほとんどありません
- 早期実施が可能 - 妊娠10週から検査できるため、早い段階で情報を得ることができます
- 陰性結果の高い信頼性 - 「陰性」結果の場合、99.9%以上の確率で対象となる染色体異常がないことを確認できます
- 従来検査より高精度 - 母体血清マーカー検査に比べて、検出精度が大幅に向上しています
デメリット
- 確定診断ではない - あくまでスクリーニング検査であり、「陽性」結果は可能性を示すのみです
- 偽陽性の可能性 - 実際には染色体異常がなくても「陽性」と出ることがあります
- 検出範囲が限定的 - 主な染色体異常(21、18、13トリソミー)のみを調べ、その他の遺伝的異常は検出できません
- 追加検査の必要性 - 「陽性」結果の場合、確定診断のための羊水検査などが必要となります
- 費用面での負担 - 保険適用外の自費診療となります
検査の選択と結果へのサポート体制
当院では、検査を受けるかどうかを決める際に、妊婦さんとそのパートナーの疑問や悩みに寄り添った情報提供と遺伝カウンセリングを実施しています。検査前には遺伝カウンセリングを必ず実施し、検査について十分な理解を得ていただいた上で検査の選択を行っていただきます。
検査結果がどのような内容であっても、その後の選択については妊婦さんとパートナーの意思決定を尊重し、最後までサポートいたします。検査結果が陽性であった場合には、確定診断のための羊水検査などの選択肢についてもご説明し、基幹施設である横浜市立大学附属市民総合医療センターと連携して適切なケアを提供します。
私たちが大切にしていること
当院では、単なる検査の提供ではなく、妊娠から出産までの包括的な産科・周産期診療の流れの中で出生前検査を位置づけています。超音波検査で胎児に何らかの所見が見つかった場合も、医師・スタッフ一同が連携して適切な対応を行う体制を整えています。当院は、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー(ダウン症候群)を含む、障害を持つ方々に対する差別を防止し、すべての人が共存できる包括的な社会の実現というノーマライゼーションの理念に基づく医療の提供を目指しています。
私たちが行っていないこと
遺伝カウンセリングなしの検査は実施しません。出生前検査は、検査そのものや、検査によって得られる結果を正しく理解し、その後の計画を考えていくなかで、さまざまな心配や迷いが生じやすい検査です。そのため、妊婦さんとパートナーのために、出生前検査の専門家による充実したサポート体制のもと実施することが大切であると認識しています。
対象疾患(21、18、13トリソミー)以外の検査は実施しません。これは検査精度、安全性、そしてその医学的意義を考慮した結果です。
詳しい情報について
出生前検査についてより詳しく知りたい方は、運営委員会のウェブサイト「一緒に考えよう、お腹の赤ちゃんの検査」をご参照ください。このサイトでは、各種出生前検査の詳細な情報や、検査を受けた方・受けなかった方の体験談、染色体疾患のあるお子さんとの暮らしについてなど、妊婦さんとご家族のために役立つ情報が掲載されています。
最終更新日:2025年6月1日
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